リーガルボイス-9 訴えられたら?
訴えられたことはどうしてわかる?
訴えられたことは、裁判所から「訴状」という書類等が封入された特別送達(書留郵便)が、裁判を起こされた人(被告)宛に郵送されてわかります。訴状とは、裁判を起こした人(原告)が、その言い分を記載して裁判所に提出する書類のことです。
裁判所は原告の訴状等を受理すると、被告に対して訴状等を送達することになっています。具体的には、郵便局員が被告の自宅(所在地)を訪問し、被告本人または同居の家族や従業員に手渡しで訴状等の入った封筒を交付して送達します。訴状が入っている封筒には、通常、期日の呼出状や答弁書の書き方を説明する書類などが同封されています。決して葉書で届くことはありません。
裁判を起こされることについて心当たりがあっても無くても、この段階で早急に弁護士に相談することがベストです。
弁護士に依頼しなかった場合、自分で裁判所に第1回期日の1週間前までに答弁書を提出することになります。被告の都合に関係なく第1回期日が決まるので、都合がつかなければ、第1回期日は欠席することも法律上認められています。また、具体的な反論等が間に合わなければ、第2回期日までに用意するかたちでもかまいません。もっとも必ず答弁書(第2回期日までに具体的な反論等をすると記載)を出す必要があります。
第1回期日が過ぎてしまったら
答弁書を出さず、第1回期日に出頭しなかった場合、どうなるでしょうか。その場合、欠席判決といって、原告の言い分どおりの判決がなされる場合が多いです。場合によっては、判決期日が別日に指定されていることもあります。その場合、審理は終わっているけれど「判決言渡しが未了である状態」です。
そうした場合は、やはり弁護士に相談するか、裁判所に電話しましょう。具体的には、答弁書の提出とともに弁論再開の申立てをするとよいでしょう。弁論の再開は、法律上は裁判所の職権でなされるので、必ず認められるとは限りませんが、ほぼ認められます。
判決言渡しがされてしまったら
判決の言渡しがされてしまったら、もはや振り出しに戻ることはできません。その場合もやはり、すみやかに弁護士に相談すべきでしょう。しかも2週間の控訴期限があるので、判決文を受け取ったその足で法律事務所に相談しにいく勢いが必要です。この段階では多くの場合は控訴状を出すことになります。
判決確定してしまったら
控訴期限を過ぎてしまったら、判決が確定してしまい、裁判所の判断を覆す方法が原則としてなくなってしまいます。判決内容に不満があったとしても、基本的には判決に従って、お金を原告に支払う等の対応をしなければなりません。放っておくと、給与や預金の差押え(強制執行)を受け、著しい経済的不利益や社会的信用の低下をともなう場合があります。
それでも、一括で支払うことができない場合には、原告ないし原告代理人弁護士に連絡して、分割払いの交渉をしてみましょう。強制執行は免れることができるかもしれません。
おわりに
裁判の被告になるのは誰でも気分の良いものではありませんし、弁護士に依頼して費用が発生することも納得できない場合が多いかもしれません。しかし、裁判の手続の進行次第で選択できる手段も狭まってきますし、対応を誤ると取り返しのつかないことになるかもしれません。「原告の主張はデタラメで嘘っぱちだから裁判所もわかってくれるはず、無視していて問題がない」というのは、勝手な思い込みです。
弁護士に依頼するとなると、安くない弁護士費用が発生することになりますが、依頼する手前で相談してみることをおすすめします。
裁判の被告になった段階では、法律相談料に見合うだけのアドバイスが得られることは間違いないと思います。